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​斜頭症マッサージのやり方について|ゆがみに対する施術方法を紹介

斜頭症や絶壁頭の治療は、0歳から遅くても2歳までと言われていますが、2歳以降でも改善することを知っていますか?

当店「あたまぁる」は東京都八王子市にあり、頭の整体施術を行う事業をしています。

生後1か月の赤ちゃんから大人の方々へ斜頭や絶壁頭など施術を提供しております。

また、頭のゆがみ、いびつの改善や変形の予防を目標とした調整を行っています。

当​ホームページは、斜頭症とそのマッサージやり方について、斜頭の形状に対する神経運動器協調の機能についての情報を紹介していきます。また、医療と併せて材料力学の視点を取り入れて解説していきます。

頭の整体施術のご予約につきましてはこちらをご覧ください。​

斜頭症について

斜頭症という言葉は、ギリシャ語で斜めの頭の意味が由来した用語で、主に生後2,3週から6ヶ月未満の赤ちゃんの頭蓋に現れる変形です。

片側の冠状縫合の早期癒合により生じた斜頭を除いた解説になります。

斜頭症の原因は、赤ちゃんがあおむけの姿勢で頭部が左右どちらかに回旋した位置のまま、後頭部が床などの面に接している状況になることです。

その際に、頭の重みが上から下に外力としてかかった時に応じて発生する頭の内力、すなわち応力が発生することで変形のきっかけが始まります。

そして、応力が自身の頭の荷重に耐え得る疲労限度を超えた場合、同時にゆがみが発生します。ゆがみに対する施術方法はこちら

​変形の経緯について

右側に頭が傾いた場合の斜頭症の変形の仕方を矢印で示す

赤ちゃんが頭を右側に向いたり傾けたりした場合、右側の後頭部が床などの面に接し、左側の前頭部から床に向けて頭蓋に力が作用すると 、頭蓋内に縦と横方向の引っ張り応力が生じ、他方が圧縮応力となります。そのため、右側の前頭部と左側の後頭部を押し出す(引っ張る)ゆがみ、左側の前頭部と右側の後頭部を圧縮するゆがみが生じます。同時に、頭蓋表面には、せん断応力が​生じます。そうして、ゆがみが累加することで斜頭症の変形が現れます。

また、頭が正中位、いわゆる真正面から右側に向く角度が大きくなるほど、左側の側頭部から床に向けて頭蓋に力が作用するため、通常の斜頭症と比べて頭の前後が長くなります。頭の向く角度が大きくなる原因として、赤ちゃんが発達の過程で顎を引く動作を始めるのが遅れることです。

軽度の脳性麻痺のリスクがある赤ちゃんは、顎を引く動作を始めるのが遅く、頸すわりや寝返り、這い這いを始めるのがやや遅れる傾向にあります。そうすると、顎が上がった状態で頭の向く角度が大きくなり、また身体は反り返りやすくなるため、あおむけ寝の姿勢の期間が長くなります。その結果、斜頭と長頭が共有した形状に変形する可能性があります。

短頭の変形の仕方について

短頭のゆがみ方を矢印で示す

後頭部と床面が接し、頭の重みが前頭部の中心付近から床面に向かって外力がかかると、頭の左右の横幅を広げる方向に押し出すゆがみが向かうことで、後頭部の膨らみが減り、頭の前後に圧縮するゆがみが向かうことで、短頭の変形が現れます。

また、赤ちゃんが顎を引いたあおむけの姿勢で後頭部と床面が接すると、前頭部の上部から後頭の下部に向かって外力がかかるため、後頭の下部から頭頂部を高く押し出す方向へゆがみが向かう短頭の変形が現れる可能性があります。短頭の施術方法についてはこちら

​長頭について

頭の前後の形状が長くなる原因として、出産直後に保育器で寝ている赤ちゃんの姿勢が、呼吸やゲップを促すために、頭が正中位から左右どちらか90°に向いた位置のままで、正中位にいない状況が長期間に及んだことが考えられます。

ベッドに接していない側の側頭部からベッド向かって頭蓋に力が作用します。そうすると、前頭部と後頭部の中心を結んで引っ張りのゆがみが生じ、同時に両側の側頭部は圧縮のゆがみに転じるため、頭の前後が長く両側側頭部が扁平の形状になると考えられます。

また、両側の側頭部と併せて頭頂部にも圧縮のゆがみが生じるため、頭頂部を頭の真横から見た時に低く見える可能性があります。

しかし、過去10年間に約8000人の方々に施術を行い頭の形を見てきましたが、斜頭や絶壁の形状が共有しない長頭の形状を確認したのは、両側の側頭部の発達があまり見られない舟状頭蓋の可能性がある方のみでした。そのため、純粋な長頭に変形する可能性は非常にレアなケースであると考えられます。長頭の施術方法についてはこちら

​変形を許す際の頭蓋内の応力状態について

斜頭や短頭のような一方向が押し出し、他方向が圧縮のゆがみ応力は、一軸応力の場合の二分の一程度の応力でもゆがみが始まります。そうすると、短時間で斜頭や短頭の変形が現れやすく、気が付いた時には頭の形がゆがんでいたという声を聞くことも少なくありません。

および、分娩時に赤ちゃんの頭蓋が吸引や鉗子などの器具で補助を受けると、頭蓋内は疲労限度を超えた応力に達しやすくなるため、短時間でゆがみが始まります。変形の性質についてはこちら

​応力集中について

斜頭症や絶壁頭が現れやすい生後6か月頃までは、頭蓋泉門が閉じ始める前です。そのため、後頭部と床が接した際、時間依存性の繰り返し荷重がかかると、頭蓋泉門や軟弱である骨の間の連結部に応力が集まりやすくなり、ゆがみを許してしまう可能性があります。

例えば、頭蓋泉門や骨の間の連結部をミクロなレベルで見た時に、原子や原子が並んでいる結晶に不純物、欠陥、傷があったとします。そして、頭蓋に外力が作用すると、不純物、欠陥、傷の部分に応力が集中しやすくなります。そうすると、不純物、欠陥、傷の部分を起点に破断が発生します。

そのため、頭に繰り返し荷重を与えた場合、泉門や骨の間の連結部の構造が個々で同じであっても、不純物、欠陥、傷の部分の位置や量が多ければ、疲労限度以下の応力(小さな応力)でも応力集中が発生し、ゆがみを許してしまう可能性があります。

そのため、柔らかい素材の寝具を後頭部に当てていたとしても、日中も静かな部屋で眠っている時間が長ければ、斜頭や短頭、絶壁頭が現れる可能性があります。

また、頭蓋内に応力が集中しない場合でも、赤ちゃんが頭を傾けたまの位置であまり頭を動かさない期間が長ければ、頭の荷重外力が同じ方向からの繰り返し作用するため、頭蓋内が疲労限度を超える可能性があります。

なお、頭蓋泉門を手で押してしまう行為は、疲労限度を超えた応力が発生し変形の起点となる可能性があるため、禁忌と考えます。斜頭症の対策についてはこちら

ゆがみの累加ついて

以下の3つの原因が赤ちゃんの頭蓋内が疲労限度を超えてしまったり、また超えた後もゆがみを累加させる可能性があります。

1つ目は、赤ちゃんは頭が傾いたままの位置を好むと、居心地を覚えてしまうことです。妊娠後期に胎内で頭が成長することで傾き始め、胎内の形状に応じて傾ける動作を繰り返すと、出産直後から位置を好む可能性があります。

2つ目は、補助分娩を受けた際、片側の胸鎖乳突筋の損傷が原因に考えられます。回復過程で筋肉が瘢痕化し伸張が硬くなることで、頸の筋肉の動きに偏りが生じ向き癖が始まります。これにより、頭を傾けた位置が長期間に及ぶ可能性があります。

3つ目は、股関節の開く柔軟性が硬いと、骨盤の前傾が抜けず身体を丸めにくくなることです。そうすると、頸、胸、腹の筋肉を使いながら頭を前後左右に動かしづらくなります。赤ちゃんの施術方法についてはこちら

​斜頭症が現れると

斜頭症が現れると、主に後頭部の扁平を示します。そして、ゆがみが累加した場合、後頭部の扁平と併せて、左右の耳の位置の非対称、顔のゆがみ、斜め扁平した側の反対側の後頭部やハチの突出が現れます。

また、過去に斜頭の形状を有する赤ちゃんを観察した際に感じたのは、寝返り、這い這い、つかまり立ちの姿勢や運動に左右差が現れる場合があることです。

また、斜頭症の影響により、あおむけ寝になると頭が傾いてしまうため、顔を真正面にした姿勢の維持が難しくなります。後頭部の扁平に対する施術方法はこちら

耳の位置の非対称が現れる

赤ちゃんの頭が右側に傾いた際のゆがみ方と左右の耳の位置の非対称を示す

きっかけは、斜頭の形状に変化する過程で起こる頭蓋内の押し出し、圧縮応力と同時に発生する頭蓋表面のせん断応力が原因です。

そうすると、頭が右側に傾いた際に発生する斜頭の場合、前頭部が右方向へ、右側の側頭部が前方向へ、後頭部が左方向へ、左側の側頭部が後ろ方向へと頭蓋をずらすゆがみが向かいます。そして、ゆがみが累加することで、斜頭の形状と併せて左右の耳の位置の非対称が現れます。

なお、集音作用のある耳介が位置的に左右非対称を示すと、人間は音が出ている方向を正しく認識することが出来なくなる可能性があります。左右の耳の位置を調整する方法はこちら

顔のゆがみが発生する

顔のゆがみが向かう方向を矢印で示す

後頭部の扁平、左右の耳の位置の非対称の発生と併せて、顔のゆがみが現れる場合があります。そうすると、右斜頭の場合、右側の前頭骨と頬骨と上顎骨が突出します。そのため、左目と比べて右目が大きくなり、鼻尖の向きと唇が左側へ向かうゆがみが生じます。

また、上顎骨が併せて突出すると上顎と下顎の歯が弓状に並んでいる部分の曲がり具合が左側と比べて右側は緩やかになるため、右側の歯並びの曲がり具合が緩やかになります。

そして、頭のゆがみ具合が軽い場合でも応力が顔面に集中すれば、頭のゆがみに比べて顔のゆがみが強くなる可能性が考えられます。また、左右の耳の位置が非対称にゆがむ場合も同様です。

顔がゆがむ原因の一つは、斜頭が発生する原因と同様で、赤ちゃんがあおむけ寝の姿勢で頭が傾いたり、向き癖のまま後頭部と床面が接すると、顔面に捻じれ応力が生じることです。

顔がゆがみや左右の耳の位置の非対称が生じている場合は、あおむけに寝てもらい、頭を顎の真下から見た際に、外見上で前頭、頬骨が右側から左側に傾斜して見えます。併せて、左右の耳の位置の非対称を確認することができます。

また、外見上で斜頭と併せて左右のまぶたの一方の側が一重でもう一方が二重が見られた場合は、顔のゆがみが生じている可能性があります。

しかし、赤ちゃんは頭と比べて顔が小さく、顔立ちがはっきりせず、じっとしていないことが想定されるため、一見だけでは視覚的にゆがみを感じることが難しい場合があります。

また、左右の耳の位置の非対称を把握する場合も、髪の毛で耳が隠れたり、頭を真上から見た時にハチの大きさで耳の位置が隠れてしまう場合もあるため、同様です。

前頭部の施術方法についてはこちら

寝返り動作に左右差が現れる

具体的には、後頭部の扁平の形に沿って頭を傾けたまま、あおむけ姿勢の状態で身体を左右に動かさなくなることで、両手を組まなかったり、寝返り動作を始める時期が遅れたり、寝返りをしないことがあります。また、寝返りを始めても一方の側に回転が偏ったりします。

過去に向き癖のある斜頭を有する赤ちゃんの寝返り動作を観察した際、向き癖側と反対方向へしか寝返りをしませんでした。

併せて、頭の形が前後に長い斜頭にゆがむと、顎を上げたままの寝るくせがついてしまっているため、寝ている期間も長くなります。また、頭が倒れるよう傾いてしまうため、頭が傾いている反対側の肩が床から浮き上がってしまいます。

そうすると、頸の前側の筋肉や胸筋が上手く使えず背筋が作用しやすくなるため、赤ちゃんは身体を丸く出来ず、寝返り動作をしようとしても、身体に反り返りが生じやすくなります。そのため、頸すわりの時期に遅れが生じたりする場合があります。

過去に、片麻痺で頭の前後が長い斜頭の形状を有した1歳お子様の頭の施術に携わったことがあります。その際、あおむけ姿勢になると頭が右側に傾いたまま顎が上がった状態で身体が反り返るため、顔を真正面に向けることが難しそうでした。また、頭を左側に傾けた場合、右側の肩が浮いてしまい、頸の向き方に左右差が見られました。

​這い這いの姿勢運動に左右差が現れる

具体的には、一方の肘や手を起点にして、反対側の脚だけで這う片這いの動作。もう一つは、一方が膝、もう一方が足の動作で這う四つ這いです。頭の傾きや向き癖が持続する影響により、左右の肩と股関節の高さに左右差が現れることが原因の1つとして考えられます。

また、寝返り動作が出来ずに身体の反り返りが多いと、6か月を過ぎても、頭が傾いたままの背這いばかりをしてしまうことです。

そして、寝返りや這い方に左右差が持続すると、つかまり立ちに左右差が見られる場合があります。こうした背景から、2歳以降の姿勢運動に影響を及ぼす可能性が考えられます。

2歳を過ぎると

​過去に斜頭の形状を有した2歳過ぎの子どもの親御様に話を聞いたところ、走る際に両手が交互に振れず、真っ直ぐ走れないと気にされていました。

また、頭の前後が長い斜頭の形状の小学生の子どもに話を聞いたところ、顔を正面にしたあおむけ姿勢で寝ると肩や頸が床から浮き上がってしまい、頭を横に傾けないと寝れないと気にしていました。

および、5歳から大人の方のあおむけ姿勢を観察した際に、頭が傾いている側の肩の巻き込みを確認しました。また、両足のつま先の開き方が対称ではなく、片足のつま先のみが内外どちらかに倒れてしまったり、両足のつま先が揃って内外どちらか同じ方向に倒れているケースを見かけました。2歳以降の姿勢や運動発達の影響についてはこちら

頭蓋変形の性質について

後頭部の扁平と突出した部分の力の向きを矢印で示す

上記の右斜頭症のイラストのように、後頭部に面した黄色矢印は左側の後頭部に分布が偏っており、曲がり具合も左側の後頭部に限局されています。一方、右側の後頭部面はフラット面が長く、1本、1本の矢印が分布されず、均等で同じ力の方向を矢印が示しています。このため、後頭部の曲がり具合がきつい部分と扁平部分とでは、押し出る力の分布が異なります。そのため、扁平の部分が自然に丸く成長しにくくなる可能性があります。

また、胎児期から生後3,4か月までの赤ちゃんの頭蓋は、ゴムのような弾力性がない柔らかさのため、一度頭蓋が斜頭症に変形をすると自然に元の形に戻るのは難しい、いわゆる塑性変形(そせいへんけい)または残留変形(ざんりゅうへんけい)に近い現象を引き起こします。

その後、赤ちゃんが頭蓋を骨折や損傷した時のような自身で正常な形に矯正する力、いわゆる自家矯正作用や自然治癒力が働かないことです。

そうして、頭蓋は2歳を過ぎると通常の頭の形に骨が正しく湾曲したり、縮んだりしない不可逆的な性質になるため、時間が経過しても自然に変形が矯正されなくなります。

以上のことから、斜頭症により生じた頭蓋の出っ張りに対し、手で直接頭蓋を押すマッサージのやり方をして縮めることは難しくなります。同様に、後頭部の扁平部に対してマッサージや手技などのやり方で引っ張っても、後頭部を膨らませるのは難しくなります。当店の施術方法についてはこちら

頭蓋変形を予防する対策

斜頭症の発生を防ぐ対策としては、頭が傾いたままや向き癖のままの仰向け寝の時間を少しでも減らしていくことです。

1つ目の方法として、赤ちゃんと目線を合わせた対面抱っこをして話しかけてあげ、顎を引かせ、指しゃぶりを促すことです。併せて、あおむけ寝の姿勢で足なめを促します。

そうすることで、骨盤が後傾し、背中を丸めやすくなるため、赤ちゃんは頭を反対側に傾けてくれたり、反り返りの頻度が減ったり、顎を引いた状態で寝返り動作をするようになります。

2つ目は、寝ている赤ちゃんの後頭部の接している位置をこまめに変えてあげることです。そうすることで、同じ位置での持続的な外力の作用する時間が短くなり、段々と頭を反対側に傾けてくれる頻度が増えていきます。

3つ目は、赤ちゃんがベッドや布団で寝ている時や育児で横抱きをしている際に、緩衝材として頭の後ろ側に折ったバスタオルを入れてあげることです。そうすると、頭に繰り返しの外力が日常的に作用しても、ゆがみの発生を予防できると考えられます。

ゆがみの大きさ、外見上での主観について

斜頭の真上の中心線から左右30°の対角線を示す

​斜頭症の形状は、頭の真上を左右に分けた中心線から左右30°の対角線の長さに差が現れます。そして、対角差が1㎝以上あると、一般の人が外見上で他人の頭をパッと見た時に、頭の形や耳の位置、顔のゆがみを感じ取れる可能性があると考えられます。​

しかし、過去に頭の形状を視覚的に評価をして感じたことは、頭のゆがみやいびつの外観に対しお客様と施術者の視覚的な主観が一致しないケースがあることです。例えば、ゆがみの気になる部分や改善したい部分、ゆがみの程度の感じ方に施術者とお客様の主観が異なる場合があります。そのため、人間は頭のゆがみを視覚的に観察した際に、客観的な評価をするのが難しいということです。

そうすると、頭のゆがみやいびつを外見上で見たときに、主観が入り込んでしまうため主観的にしか視覚的な評価ができない可能性があります。また、個々で主観が異なります。そのため、専門家であっても視覚的な評価が異なる可能性が想定されます。また、外観上では視覚的な評価しか得られません。

そのため、出産直後から少しでも頭のゆがみ感じた場合は、ヘルメット治療の有効性が高い生後3か月から5か月の時期に頭の形外来にて左右対称比の数値を3Ðで測定をして、客観的な評価を知ることが重要と考えます。当店の施術の方針についてはこちら。

​斜頭症マッサージのやり方と異なる施術方法

頭を押した時の内力抵抗を矢印で示す

当店では、斜頭症や短頭症、絶壁頭の頭蓋変形を治すというよりも、左右のゆがみを調整していくことが施術の目的になります。その際、ゆがみが向かった方向とは反対に向かう調整を行い、正常な位置に合わせていくことが目標となります。

具体的な一例として右斜頭の場合、後頭部の扁平が右側の側頭部に斜めが向かうため、右側の頭蓋全体は、前方にゆがみが向かう変位が生じます。そのため、右側の頭蓋を後方に向かう調整を行い、左側の頭蓋の位置に合わせていきます。

また、斜頭症の変形に対して頭を押す、こねる、さする、なでる、揉む、引っ張るなどのマッサージをします。すると、頭は凹んだり、壊れたり、位置が動いたりしないように頭の内力が抵抗するため、ゆがみが調整されないことです。また、頭蓋の縫合は向かいあう骨と骨の間隙が狭く、身体の骨と骨の間隔が広い関節と比べて運動性が制限されるため、マッサージの効果として期待される矯正作用が働きません。

そのため、左右のゆがみに対してはマッサージをするというよりも、穏やかに頭皮の表面を触れているのみの調整方法で改善を行います。

こちらの施術方法は当店の施術と異なりますのでご確認ください。

赤ちゃんの頭のゆがみに対する施術について

赤ちゃんの斜頭や絶壁頭に対しては、ゆがみの進行を予防する目的で施術を行います。

新生児から1歳半未満の頭蓋は泉門が存在し骨の間が離れているため、動きをつける調整を行うと、ゆがみの累加につながる可能性があるからです。また、頭にマッサージの力が加わると、頭蓋内に疲労限度を超えた応力が生じる可能性があります。

そのため、頭囲が急激に成長する1歳半までの間は、両手で頭皮の表面をおおうように触れたまま、頭蓋を固定する調整を定期的に行うことで、ゆがみの進行を待機させます。そうすることで、頭蓋の他の部分が成長していくため、左右非対称のバランスが改善し、後頭部の扁平に対し膨らむ効果が期待できます。

施術の通い方につきましてはこちらをご覧ください。

施術の姿勢

抱っこをしながら頭の施術を受けている子ども
ベッドの上であおむけになり頭の施術を受けている大人

ベッドの上で施術を行う姿勢として、頸のすわりがまだのお子様は仰向け寝の姿勢で施術を行います。頸がすわったお子様は保護者様がベッドの上もしくは椅子に座って対面抱っこをお願いしています。その上で、施術者は頭の後ろ側から調整を行っていきます。

2,3,4歳のお子様は座り姿勢になります。その上で、施術者は頭の後ろ側から調整を行っていきます。

大人の方は仰向け姿勢になります。施術者が椅子に座り、頭頂部側から重力を加えながら調整を行います。頭蓋が成長により強度が増し、調整できる範囲が少しずつ狭くなる理由からです。

以下では、斜頭症の頭を真上から見た時、後頭部が右斜め前方の扁平と併せて、生じた左右の耳の位置の非対称、右側の額のゆがみ、左側の側頭部と後頭部のゆがみに対する施術方法の一例を紹介していきます。

施術の流れにつきましてはこちらをご覧ください。

​後頭部の斜め扁平に対して

後頭部が斜め扁平の頭の形に施術する方向を矢印で示す

0歳から1歳半未満の赤ちゃんは、両手で頭全体をおおうように頭皮の表面を触れます。そして、触れたままの位置でそのまま持続させる調整を行います。

1歳半から5歳未満のお子様は、両手で頭全体を包むように触れ、頭頂部や側頭部から後頭部に向けて力を加える調整で後頭部の改善を行います。

大人の方は、両手で側頭部や頭頂部を包むように触れて、側頭部や頭頂部から後頭部の膨らみがあったとされる方向へ向かう力を加えます。

両手で子どもの頭を触れて調整を行っている施術者

右側の耳の位置の前方のずれ

左右の耳の位置が非対称の頭の形に対し施術する方向を矢印で示す

頭の形が前後左右にずれたゆがみが生じた斜頭症に対しては、左右の耳の位置を合わせることが施術の目標になります。

0歳から1歳半未満の赤ちゃんは、左手で左側の頭部を触れて頭を支えながら、右手の指腹から手のひらの順で右側の側頭部と頭頂部の全体を包むように触れます。そして、触れている手の位置のまま持続させる調整を行います。

1歳半から5歳未満のお子様は、左手で左側の側頭部を触れて頭を支えながら、右手で右側の側頭部の前側から右側の耳の後ろ側や右側の後頭部の方向へ向かう力を加えます。

大人の方は、施術者が左手で後頭部を軽く持ち上げて浮かせながら頭を支えます。その上で、右手で右側の側頭部の前側から右側の耳の後ろ側と右側の後頭部の方向へ向かう力を加えます。

ゆがみの大きさについてはこちら

​左側の耳の位置の後方へのずれ

右手で子どもの頭を支えながら左側の側頭部の調整を行う施術者

0歳から1歳半未満の赤ちゃんは、右手で右側の後頭部を触れて頭を支えながら、左手の手のひらから指腹の順に包むように左側の側頭部と頭頂部の全体を触れます。そして、触れている手の位置のまま持続させる調整を行います。

1歳半から5歳未満の方は、両手で両側の側頭部を触れ、右手で右側の側頭部を触れて頭を支え、左手で左側の側頭部の前側もしくは後ろ側から左側のこめかみや左側の前頭部に向けて力を加えます。

大人の方は、頭を右側へ傾け、施術者が左手で側頭部の後ろ側から後頭部を触れて頭を軽く固定します。その上で、右手で左側の側頭部の中心から左側のこめかみに向けて力を加えます。

前頭部が右側へゆがんだ場合

顔を正面から見た前頭部の施術方法を矢印で示す

0歳から1歳半の赤ちゃんは、施術者が右手で右側の頭部を触れて頭を支え、左手の母指以外の指腹を右側の前頭部にあてがい、指腹から手のひらの順で前頭部全体を包むように触れたままの位置で持続させる調整を行います。

1歳半から5歳未満の方は、施術者が右手で右側の側頭部を触れて頭を支え、左手で右側の前頭部から左方向へ向かう力を加える調整を行います。

大人の方は、頭を左側に軽く傾け、施術者が右手で右側の側頭部を触れて頭を支えます。その上で、左手で右側の前頭部から左方向へ向かう力を加えます。

前頭部の調整を受けている子ども

後頭部が左側へゆがんだ場合

左側の後頭部のゆがみに対し施術する方向を矢印で示す

0歳から1歳半の赤ちゃんは、施術者が右側の側頭部を右手で触れて頭を支え、左側の側頭部や左側の後頭部を包むように触れて、そのままの手の位置を持続させる調整を行います。

1歳半から5歳未満の方は、施術者が右手で前頭部または右側の側頭部を触れ頭を支えながら、左手全体もしくは左手の母指で、左側の側頭部や左側の後頭部から後頭部の中心へ向かう力を加えます。

大人の方は頭を右側に傾け、施術者が右手で左側の側頭部を触れて頭を支えます。その上で、左手で左側の側頭部や左側の後頭部から後頭部の中心へ向かう力を加えます。

ベッドの上であおむけになり左側の側頭部の施術を受けている大人

ハチ張りの施術のやり方

ハチ張りの頭の形に施術する方向を矢印で示す

0歳から1歳半の赤ちゃんは、両手で頭全体をおおうように頭皮を触れ、穏やかに頭を包むようにしたままの手の位置を持続させます。

1歳半から5歳未満の方は、両手で左右の側頭部やハチを覆うように触れ、ハチの前側からハチの後ろ側の方向や後頭部の中心の位置に向かう力を加えます。

大人の方は、施術者が左手で後頭部を軽く持ち上げて浮かせながら頭部を支えます。その上で、右手全体もしくは母指でハチを触れて、右側のハチの前側から右側のハチの後ろ側の方向や後頭部の中心の位置に向かう力を加えます。そして、手を入れ替え、左側のハチを同様のやり方で調整を行います。

赤ちゃんの頭のハチを両手で触れている

突出した頭頂部に対しての調整

右手で子どもの後頭部を支えながら左手で頭頂部の調整を行う施術者

0歳から1歳半の赤ちゃんは、片手で後頭部に手を添えながら頭を支え、もう片方の手で頭頂部の前側から後ろ側にかけて包むように頭皮を触れたままの手の位置を持続させます。

1歳半から5歳未満の方は、片手で後頭部に手を添えながら頭を支え、もう片方の手で頭頂部の前側から後頭部の中心に向けて力を加えます。

​大人の方は、後頭部を片方の手で軽く持上げて頭を支え、施術者がもう片方の手で頭頂部の前側から後頭部の中心に向けて力を加えます。

施術のご案内についてはこちらをご覧ください。

ベッドの上であおむけになり頭頂部の施術を受けている大人

​長頭の形状に対する施術

0歳から1歳半の赤ちゃんは、片手で後頭部に手を添えながら頭を支え、もう片方の手で側頭部の前側から後ろ側にかけて包むように頭皮の表面を触れたまま手の位置を持続させます。そして、手を変え、反対側の側頭部に対し同様の方法で調整を行います。

1歳半から5歳未満の方は、片手で後頭部に手を添えながら頭を支え、もう片方の手全体で側頭部の前側から後頭部の外側や耳の後ろ側に向けて力を加える調整を行います。そして、手を変え、反対側の側頭部に対し同様の方法で調整を行います。併せて、顔が真正面を向いた状態で、両手で前頭部から頭頂部を触れ、頭頂部の後ろ側から後頭部の上部に向かう力を加える調整を行います。

大人の方は、後頭部を片方の手で軽く持上げて頭を支え、施術者がもう片方の手全体で側頭部の前側から後頭部の外側や耳の後ろ側に向けて力を加える調整を行います。そして、手を変え、反対側の側頭部に対し同様の方法で調整を行います。

併せて、顔が真正面を向いた状態で、両手で前頭部を触れ、後頭部の方向に向けて施術者の手の重みを加える調整を行います。

斜頭症と神経運動器協調の関係について

斜頭の形状を有する2歳以降の子どもから大人の方に姿勢や運動の左右差が見られる原因として、神経運動器協調の機能が低下する影響が考えられます。

神経運動器協調とは、身体の各部位に存在するメカノレセプターから身体の情報を得ることで身体の左右の筋肉が協調し合い、筋肉の運動する部分が正常パターンで動くことを言います。

また、人間は左右対称の頭の形の情報をメカノレセプターが脳に信号を送り続けることで、脳は頭の状態と頭の状態に対する身体の状態の関連性を把握しています。そして、体幹の筋や腱の情報が中枢神経に伝達され、頭の形に対応した筋肉の緊張や収縮が行われます。そのため、人間は立ち姿勢や身体の動作で姿勢が変化した際にも、頭が傾かずにいられます。

同様に、頭皮の受容器の知覚情報からや頸の関節のメカノレセプターから頭の位置情報を収集すると、頸の関節位置覚や運動覚が認識をして頸の左右の筋肉が協調することで、頭が傾かないように制御をして頭の位置を固定しています。併せて、両足でしっかり地面をつかむことで身体を支えるための情報源となる足底メカノレセプターが身体の情報を得て姿勢の制御をしています。

そのため、斜頭の位置情報を頸の関節メカノレセプターが収集した際に、頸の位置覚や運動覚の認識が通常の頭の形状や位置と異なります。

そうすると、左右の頸の筋肉の協調が異常パターンに作動し、頸の筋緊張や筋収縮に左右差が生じます。そして、左右差が長く続くと、頸の関節メカノレセプターに負担がかかる可能性があります。

その結果、位置覚や運動覚の機能が低下を招き、頭が左右どちらかに傾いてしまうことが考えられます。併せて、日常的に頭が傾いた寝方も頸椎と頸周りの筋肉が捻じれるため、同様です。そうすると、身体の左右どちらか一方の側の筋肉で体幹を支えながら、もう一方の側の筋肉に力を正確に伝える過程が不十分になる可能性があります。

頭が日常的に傾くと

人間は日常的に頭が傾くと、各関節に緩みが生じることで、立ち姿勢や運動に左右差が現れる可能性があります。

なぜかというと、頭が傾くことで身体の重心の位置が移動するため、両足の足底に均等に体重が乗らなくなります。そうすると、両足の母趾でしっかり地面を捉えられず、足底メカノレセプターへ身体の情報伝達が不十分となります。それにより、上半身の姿勢を制御するための下半身の筋肉操作が正常に作動しなくなるからです。

そのため、歩行の際に足を真っ直ぐ出しているつもりでも骨盤が揺れてしまいます。

​姿勢運動に左右差が生じると

1. 例えば、鉛筆や箸が器用に使えなかったり、スポーツの際に空手でジャブを打ったり、サッカーでボールを蹴る際の威力が弱まる可能性はあります。

2. 足底メカノレセプターの機能が低下すると、自分で姿勢を直そうとしても反り腰になってしまったり、肩が巻き込んでしまうことが考えられます。

また、片足立ちが不安定になったり、ぎこちない歩行や走行なったり、野球でフォームが乱れたままボールを投げることで肩や肘に負担をかけてしまう可能性はあります。

そして、もし転倒しそうになった時に筋の作動が遅れるため、身体の各部分の関節の損傷や骨折に繋がるリスクが考えられます。

あたまぁるにつきましてはこちらをご覧ください。​

参考文献

大場弘  本多直人."第一次呼吸機序の研究 頭蓋内圧変動の測定から"一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC) .2020/10/16/ 1-9-13.pdf (jsccnet.org)(参照2022-02-27)日本カイロプラクティック徒手医学会誌voi.1(2000)

原著論文 第一次呼吸機序の研究 頭蓋内圧変動の測定から 大場弘 本多直人

著者 L.P.ガードナー J.L.ハイアット 

監修者 石村和敬 井上貴央

​「最新カラー組織学」西村書店(2003)

​森於菟 小川鼎三 大内弘 森富「分担解剖学1総説 骨学 靭帯学 筋学」金原出版株式会社(1950)

青木徹彦「例題で学ぶ構造力学Ⅰ-静定編-」株式会社コロナ社 (2015)

井原秀俊「関節トレーニング 改訂第2版-神経運動器協調訓練-」株式会社協同医書出版社(1996)

家森百合子 神田豊子 弓削マリ子「《別冊発達3》 子どもの姿勢運動発達」株式会社ミネルヴァ書房(1985)

M モンテッソーリ著 釈者 吉本二郎 林信二郎「モンテッソーリの教育 0歳~六歳まで」株式会社あすなろ書房(1999)

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