
斜頭症・頭の形の施術に関する法律・医業類似行為について|あたまぁる
斜頭症・頭の形の施術は「医業類似行為」に分類
簡潔に言うと、「手で頭の形の施術する国家資格」は存在しません。そのことから、施術は「医業類似行為」に分類されます。
医業類似行為は、「疾病の治療」を目的とするものと、「保健」を目的するものに分けられます。
あはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)では、「疾病の治療」を目的とする場合は「禁止されている医業類似行為」に該当するため、いかなる全ての者に禁止しています。
つまり、誰であれ、斜頭症などの頭の形の「改善」を目的とする施術を行ってはならないということです。
重要なのは法律ではなく、「禁止されている医業類似行為」は「国が公認していない治療」であるため、施術者が責任を負えない(責任を負わずに済む)方法であることから「非常に危険な行為」なのです。
そのことから、医師は、斜頭症・絶壁頭の治療法として、頭に、手による「マッサージ」・「矯正」などの施術を行いません。
頭蓋変形は「疾病・疾患」にあたる

頭蓋変形(頭の形)は「斜頭症・短頭症・長頭症・頭蓋縫合の早期癒合」による変形に分類されます。
厚生労働省は、乳児の外圧による頭蓋変形(変形性斜頭及び変形性短頭症)を疾病・疾患に指定しています。
つまり、手による斜頭症などの頭蓋変形・頭の形の施術は、疾病の施術であることから、医業類似行為に分類されます。その際、「疾病の治療を目的とする」場合は、「禁止されている医業類似行為」になります。
医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の進め方(案)では、以下の通りに発表しています。
医業類似行為について
法律上の「医業類似行為」とは、免許制(国家資格)以外の治療行為の総称を言います。
医業類似行為は、元々「医業に類似した違法な行為」という意味で、「いかなる者も行ってはならない行為」です。
類似行為というのは、基本的に「してはいけないこと」を指す用語です。そのことから、医師以外の者が「医師が行うの医業と似たような行為をしている」と言うのは悪いことなのです。
医業類似行為の定義
昭和29年(1954年)6月に仙台高裁は、「医業類似行為とは、疾病の治療又は保健の目的でする行為であって、医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゅう師、又は柔道整復師等の、法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないもの」と述べています。
令和7年(2025年)9月24日山形地方裁判所は、「ここにいう医業類似行為とは、医行為に該当しないが、疾病の治療又は、保健の目的をもって行う行為であると解され、あん摩師等法は、医師以外の者については、同法の定める行為(あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅう)を業とすることは、医師又は同法の定める免許を有する者の限り認め、それ以外の医業類似行為については、医師以外の者がこれを業とすることを禁止する趣旨であると解される。
もっとも、憲法22条は、何人も、公共の福祉に反しない限り職業選択の自由を有することを保障していることからすると、上記疾病の治療又は保健の目的は、単にこれを行う者又は受ける者の主観的な期待にとどまるものでは足りず、客観的な根拠を有するものでなければならないと解される。
また、あん摩師等法の上記定めも、医師又は免許を有する者以外のものが業として医業類似行為を行うことが人の健康に害を及ぼすおそれがあり、公共の福祉に反するものと認めたためであると解されるから(最高裁判所昭和29年(あ)2990号同35年1月27日大法廷判決・刑集14巻1号33貢、同18巻4号155貢参参照)、問題とされる施術が人の健康に害を及ぼすおそれがあるという場合に、それが、あん摩師法12条本文において禁止されている医業類似行為に該当することとなると解される。」と述べています。
つまり、免許制(公的な資格制度である国家資格)のない治療や保健を目的とした行為が、医業類似行為になります。
※山形地方裁判所の判決文にある「問題とされる施術」というのは、「マッサージ師の免許を持たない理学療法士が在籍している整体院が、医師の指示なしに医業類似行為(マッサージ師の免許行為)を行っていた疑い。その際、医業類似行為で禁止されている疾病の治療を行っていた疑い。また、適法であるかのように疾病の治療や根本改善を掲載していた。」とされる問題です。
それに対し、裁判所は整体院に対し「全ての医業類似行為に関する表示の禁止と削除」の指示をする判決を下しています。
この判決は、理学療法士の人達が、人の健康に害を与えない「整体の行為」とは異なる、治療や改善を目的とした施術行為を行っていた疑いに対する判決であるため、「整体は違法」という判決ではありません。また、「問題とされる施術」というのは、頭蓋変形ではありません。
斜頭症などの頭蓋変形・頭の形の施術は、判決文にある「それ以外の医業類似行為」に含まれ、「医師以外の者がこれを業とすることを禁止する趣旨であると解される。」・「人の健康に害を及ぼすおそれがあるという場合に、それが、あん摩師法12条本文において禁止されている医業類似行為に該当することとなると解される。」と記されている部分に該当します。
医業類似行為は、国家資格を必要とする業務ではない
まず、大前提として、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の専門学校の「学科」「実技(手技)」「試験」「技術基準」に、「斜頭症などの頭蓋変形、絶壁頭、頭のゆがみ・頭のいびつ・頭の形」の施術は含まれません。
そのため、免許の業務である「あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業、柔道整復業」とは全く異なる施術(免許外・業務外・無資格の行為)であるにもかかわらず、「○○師による施術・国家資格所有者が担当・資格、免許が必要」などと掲載するのは違法となります。
そのことから、日本の法律では、医業類似行為である斜頭症・頭の形の施術を行う場合は、国家資格が必要ではありません。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の頭文字をとって「あはき」、柔道整復師を省略して「柔整」と言います。
「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」の略称を「あはき法」と言います。
厚生労働省らは、医業類似行為に関して様々な規定や定義をしていますが、あはき法は、昭和二十二年に定められて以降、現在に至るまで、あはき法の一条・十二条の条文は改正されていません。日本は法治国家であり、医業類似行為については、いかなる人が行っても、あはき法第十二条の条文に該当するのです。
そのことから、手による斜頭症などの頭の形の施術に関して、一部の者が「あはき法に該当するものではない」、「マッサージ・矯正ではない」、「医療行為ではない」、「民間療法である」、「赤ちゃんの健康・怪我・症状が悪化から守るためにもマッサージ師による施術を選んでください」「赤ちゃんの頭の形が気になり施術を受ける際には、マッサージ師の国家資格をお持ちですか?と尋ねるようにすることです」などと謳っていますが、施術を行う全ての者は、「あはき法第12条」に該当するのです。
その際、改善・丸くなることが保証されないと謳っていても、頭の形の変化を求めて施術を行うのであれば、あはき法第12条が禁止する医業類似行為に該当し処罰の対象になります。
※いかなる施術方法であっても、形を変える(変えようとする)目的で施術を行う(謳う)場合は、禁止されている医業類似行為である「治療行為」であり、それは医行為に該当します。
あはき法第十二条の意味
一部抜粋しますが、あはき法第十二条では、「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。」と定めております。
まず、十二条の条文は「法律用語」になります。
そのため、「日常語」で十二条を解釈すると。
・「何人も、第一条に掲げる医師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師ではない者は、医業類似行為を業としてはならない」
・「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師。この内どれかひとつでも免許を持っていれば、あらゆる医業類似行為を業として良い」
と読めるので、解釈は正しくありません。
改めて言うと、「何人も、医業類似行為を業務としてはならない」と同時に、「あはき師であっても、医業類似行為をしてはならない」という注意を示しています。
あはきの免許者は業務の範囲内で治療行為がおこなえるので、業務外(免許外)の行為にまで踏み込まないように忠告する。もう一つは、「あはきは医業類似行為に含まれませんよ」という念を押した法律です。
「全国民」が十二条に該当する
「何人も」というのは、日本に住む全ての人々を示し、全国民があはき法第十二条に該当します。
つまり、あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師は当然ながら、理学療法士・助産師などの全ての国家資格者、無資格者、一般人、たとえ医師や国家元首であっても、誰であれ医業類似行為を業務としてはならないということです。
・いかなる人も(誰でも)、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうの「免許行為」はここには含まれないが、医業類似行為は業としてはいけませんよ。
・第一条の免許行為者であっても行えるのは免許範囲の業務だけであり、それを逸脱して医業類似行為まで業務としてはなりませんよ。
・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許を持たない者が、あはきの免許行為を行うと医業類似行為になりますよ。
という意味になります。
なお、第十二条では、「ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。」と記されています。
柔道整復師が柔道整復師法で認められた範囲内で接骨(骨折・脱臼・捻挫・打撲・筋腱軟部組織の損傷)を業とする場合は、十二条の制限を受けないことを意味します。
一般社団法人京都府あん摩マツサージ指圧師会では、あはきの免許行為(マッサージによる適応症)について以下の通りに表記しています。
一条の「者」と十二条の「もの」の意味について
※あはき法第一条の「あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は」の「者」は、人間を表します。また、「物」は、物件を表します。
つまり、第十二条の「第一条に掲げるものを除く外」の「もの」は、ひらがなの「もの」であるので「行為」や「業」などの人間・物件ではないものを表し、「者」や「物」とは意味合いが異なります。
※あはき法第十二条の「第一条に掲げるものを除く外」の「もの」とは、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師という「免許者」ではなく、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうの「免許行為」を指します。
あはき法第十二条に「第一条に掲げるものを除く外」という条文を含めている理由としては、第一条の免許行為者であっても、行えるのは免許範囲の業だけであり、それを逸脱して自身の免許範囲外の医業類似行為まで業務としてはならないからです。
それらのことから、「もの」というのは第一条に掲げる免許行為を意味します。つまり、「あん摩業、マッサージ業・指圧業・はり業・きゅう業」のことを述べているのです。
【誤った十二条の解釈】
①整体による斜頭症の施術は医業類似行為なのでマッサージ師の資格を持っていない者が行うと医師法やあはき法第12条に抵触する違法行為です。
②マッサージ師の国家資格を持たない者が、医業類似行為である斜頭症・頭の形の「治療」を目的とした施術を業とすることは違法行為となります。
③斜頭症などの頭の形の施術が行えるのは、法で認められている医業類似行為であるマッサージ師。
④斜頭症の施術は日本の現行制度下では、医師及びマッサージ師のみが行える。 日本の法律では医業類似行為を行う際には資格が必要になるのです。
⑤柔道整復師、助産師、理学療法士といった国家資格はもっているけど医業類似行為を行えない人たちが事故を引き起こす事があります。
⑥斜頭症等の施術はいわゆる「医業類似行為」と言いますが、 日本の法律では医業類似行為を行う際には資格が必要になるのです。
⑦無資格の整体師は元々、医業類似行為を法律で禁止されていますので当然、医療費控除の対象にはなりません。
⑧整体院による斜頭症矯正は違法行為で危険です。
⑨整体師は斜頭症の施術ができない(そもそも無免許施術自体が処罰の対象)。
⑩柔道整復師は一定の要件を満たさないと斜頭症の施術ができない。
①~⑩は、『第十二条の「第一条に掲げるものを除く外」の意味は「免許を持っている者を除く外」だから、マッサージ師・鍼灸師の免許者は医業類似行為をやっても良い』と言っていることになります。
【正しくは】
①いかなる人による斜頭症の施術は医業類似行為なので、あん摩業、マッサージ業、指圧業は医業類似行為には当たらないが、マッサージ師の資格を持っている者が行うと医師法やあはき法第12条に抵触する違法行為です。
②マッサージ師の国家資格を持つ者が、医業類似行為である斜頭症・頭の形の「治療」を目的とした施術を業とすることは違法行為となります。
③斜頭症などの頭の形の施術が行えるのは、法で認められている医行為である医師・医師の指示のもとで病院で行う理学療法士。
④斜頭症の施術は日本の現行制度下では、医師のみが行える。 日本の法律では医業類似行為を行うと、誰であれ罰則の対象になる。
⑤柔道整復師、助産師、理学療法士、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師といった国家資格はもっているけれど、医業類似行為を行えない人たちが事故を引き起こす事があります。
⑥斜頭症等の施術はいわゆる「医業類似行為」と言いますが、 日本のあはき法第十二条の法律では医業類似行為を行う際には資格が必要ではなく、資格を持つ者・持たない者にかかわらず誰でも禁止です。
⑦無資格と国家資格の整体師・マッサージ師・鍼灸師・柔道整復師は元々、医業類似行為を法律で禁止されていますので当然、医療費控除の対象にはなりません。
⑧病院以外の斜頭症矯正は違法行為で危険です。
⑨全国民が手による斜頭症の施術ができない(そもそも国家資格免許による施術自体が処罰の対象)。
⑩マッサージ師・鍼灸師・柔道整復師・助産師は一定の要件を満たす満たさないにかかわらず斜頭症の施術ができない。
と読まなければならず、そうでなければ、あはき法の第一条と第十二条の法律に矛盾が生じるので間違った意味になるのです。
先ほどの、「③斜頭症などの頭の形の施術が行えるのは、法で認められている医業類似行為であるマッサージ師」についてですが、医業類似行為は法律で認められていません。あはき法では医業類似行為を行えば罰則があります。
医業類似行為は、法律でいかなる全ての者が禁止されているので、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師が免許行為を外れた斜頭症などの頭の形の施術を行うことで、当然ながら罰則があります。
平成2年(1990年)に厚生労働省の医事課が「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律・柔道整復師法 逐条解説」という本を出版しました。この逐条解説には、「あはき柔整は広義では医業類似行為になる」ということが書かれています。
医業類似行為は法律により禁止されているにもかかわらず、司法機関ではない厚生労働省・行政・有識者らは、マッサージ師・鍼灸師・柔道整復師の位置づけを広義の医業類似行為(「法で認められている・法に基づいた・法的資格制度がある」医業類似行為)、「無資格者や整体・カイロ・オステなどの民間療法」を狭義の医業類似行為であるとする規定をしたのです。
※法律では広義も狭義もありません。
そうした背景から、一部のマッサージ師が、法的に認められておらず免許外であるにもかかわらず、「無資格者や整体などの民間療法は当然ながら違法行為で危険」と比較した上で「斜頭症・頭の形の施術は医業類似行為と言われ、法で認められている医業類似行為であるマッサージ師のみが行える」などと掲載してしまうのです。
そうすると、「マッサージ師は医業類似行為をやっても良い」となってしまい、法律で「何人も医業類似行為を禁止している」あはき法12条と矛盾してしまいます。
つまり、法的には「はり業、きゅう業、あん摩業、マッサージ業、指圧業、柔道整復業」は「法で認められている医業類似行為」ではなく、法令に基づいた資格による「免許行為」なので、医業類似行為ではありません。
それらのことから、医業類似行為である斜頭症・頭の形の施術は、国家資格を持つ者が行う場合でも法的に認められておらず、免許外で行われる違法行為となります。
十二条に違反した罰則は以下の通りです
第十三条の七 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第一条の規定に違反して、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業とした者
二 虚偽又は不正の事実に基づいてあん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けた者
三 第七条の二(第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
四 第十二条の規定に違反した者
五 第十二条の三の規定に基づく業務禁止の処分に違反した者
② 前項第三号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
あはき師・柔整師による頭蓋変形の施術は、業務の範疇を超えている
冒頭に申し上げたように、斜頭症などの頭蓋変形・頭の形を施術する国家資格は存在しないことから、あはき・柔整の免許行為に含まれない、医業類似行為になります。つまり、あはき師・柔整師が頭の施術を行う場合は、業務外である医業類似行為に踏み込んでいることから、「あはき法第十二条」に抵触します。
以下では、医業類似行為の中で「禁止されている行為」について解説していきます。
手による変形の「マッサージ」「矯正」は「関節」に行う施術方法である
あん摩マッサージ指圧師が行う治療行為(免許行為)である「マッサージ」の効果には、形態的および機能的な異常を正常な状態に戻そうとする「変形の矯正作用」が「関節」にあることから、関節の動きを良くする目的として「マッサージ及び変形徒手矯正術」が行われます。
そのことから、あん摩マッサージ指圧師は、「関節変形」の施術に対して「矯正」という言葉を使うことができます。(変形徒手矯正術には、医師の診断と同意が必要です。)
※しかしながら、変形の矯正作用を利用して、関節が存在しない「頭蓋」に矯正を施すことは、免許で許されている矯正とは異なり、業務外(免許外)で行われる「禁止されている医業類似行為」又は「医の行為」となります。
『変形徒手矯正術は、現に関節拘縮や筋萎縮が起こり、その制限がされている関節可動域の拡大を促し症状の改善を図る変形の矯正を目的とした施術でありマッサージと併せて行うことから、マッサージの加算とする取扱いとして同一部位にマッサージ及び変形徒手矯正術の両方を行った場合に限り、両方の料金を算定すること。 また、変形徒手矯正術は、6大関節(肩、肘、手首、股関節、膝、足首)を対象とし1肢(右上肢、左上肢、右下肢、左下肢)毎に支給すること。』
(「令和6年5月31日、保医発0531第7号、厚生労働省保険局医療課長通知、はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」の一部改正について、別添2の第5章の5の文面より)
つまり、手による変形の矯正は、頭部(斜頭症などの頭蓋変形・頭の形・絶壁頭)に行ってはならないということです。
医師以外は、頭蓋変形に「矯正」という掲載はできない
変形の矯正は、「脳血管障害の後遺症、加齢による関節拘縮や筋力低下、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症」等の傷病に対して行われるものであり、赤ちゃん、幼児、大人の頭に行う施術方法ではありません。
それらのことから、医師・歯科医師以外の者は、斜頭症などの頭の形のトピックにおいて、「広告・ウェブサイト・症例写真・ビフォーアフター写真・SNS」等に「マッサージ」「矯正」などと掲載することは違法になります。
医行為と誤解される表現は、医師法・医療法・薬機法に抵触するおそれがあります。
保健所は、あはき師・柔整師による頭蓋変形の施術を否定している
2023年に、地域の施術所を管轄する「保健所」に、あはき師・柔整師が行う頭蓋変形の施術について問い合わせたところ。
「施術はできない。あはき・柔整に含まれない。広告に謳えない。業務の範囲外の行為になる。医療行為になる。業務外の施術で万が一事故を起こしてしまった場合、施術者は責任を負えない。そのため、施術者が保険に加入していても保険が下りない。そのことから、利用者にはそこには行かず別の所をあたってほしいという指導をしている。施術は民間療法になる。そのため、危害を与えないように。」
という回答でした。
※「民間療法」ということは、保健所登録外で行われる施術になります。また、「危害を与えないように」ということは、治療行為を行ってはならないということになります。
あはき法第十二条では、疾病の治療を目的とした医業類似行為を禁止している
斜頭症・頭の形に対し、治療・改善・解消・緩和することを目的とする施術は、国家資格の有無に関わらず、あはき法第十二条が禁止する医業類似行為に該当します。
また、一般消費者に対し、禁止する医業類似行為に該当する施術が、あたかも適法に行われている医業類似行為であると認識する掲載は「品質誤認表示」に該当します。
※医業類似行為は、保健の目的であれば禁止されていません。
何かを変える目的で行われる施術は「治療」である
何かを変える目的で行われる施術は「治療」にあたります。
つまり、頭・身体に行う施術が「頭の形を変えるを目的」としていれば「治療」となります。
「斜頭症などの頭蓋変形・絶壁・ハチ張り」などの「頭・頭蓋骨・頭の形」に対し「丸くする・矯正する・マッサージする・調整する・変える・整える・丸く育てる・丸くしたい方・綺麗にする・治る・悩みを解消する・根本改善をする」などと掲載すると、形を変える目的とした治療行為を示しているため「違法」になります。
また、禁止されている医業類似行為の掲載は、医師・医行為・医業を誤認させるような表現となります。
禁止されている医業類似行為は「医行為」である
医業類似行為の中でも、疾病の治療の目的をもって行う行為は、人の健康に害を及ぼすおそれがあり、公共の福祉に反することから、「禁止されている医業類似行為」になります。それは、「医行為」と同類であり、それを業(業務・営業)としておこなえば「医業」になります。
つまり、医師以外の者が、頭の形を変える行為を掲載する場合は、「医師・医行為・医業」を誤認させるような表現を掲載していることになるため、あはき法の他に、医師法・医療法に違反します。
そのため、医師ではないにもかかわらず「斜頭症の矯正を受けるには保健所に登録され医療費控除の対象となる施術を選びましょう」という掲載は違法です。
頭の形を変えようとする手技療法は全て禁止される
「医業類似行為は、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務行為でなければ禁止の対象にならない」(昭和35年1月27日 最高裁大法廷判決)
昭和35年の最高裁判決を要約すると。
・「あはき法12条が免許外の治療行為である医業類似行為を禁止しているのは、人の健康に害を及ぼすおそれ(可能性)があるからである、従って医業類似行為を業とすることは公共の福祉に反する」
・「あはき法12条14条の禁止処罰は、公共の福祉に必要であって憲法22条に反するものではない」ということです。
※国民が適時に適切な医療を受ける機会を失うことを防止するところにあるからです。
また、「人の健康に害を及ぼすおそれのある」というのは治療行為全般のことで、保健や健康法の類までは禁止しないという意味になります。
※効果のある治療で「有害性が全くゼロ」ということはありえないからです。そのため、利用者が「変化」や「効果の実感」を受けたとしても、違法になります。
治療行為というのは当然、有害のおそれがあるので、無資格者・国家資格の業務外の「国が公認していない治療」はおこなえないということです。
たとえ、「無事故」、「無理に力を加えたり、強引に動かしたりせず優しく触れる程度」「圧を加えないから安全」であってもです。
それらのことから、頭の形を変える目的で「頭」や「身体」に行う「手技療法全般」は「治療行為」になり全て禁止ということになります。
※医師の指示のもとで理学療法士が乳児に行う体位変換などの「理学療法」は除く。
手技療法(徒手療法)というのは、施術者の指や手のひらをつかい、頭蓋や身体の皮膚・筋肉・骨・結合組織に刺激を直接与える施術方法です。そのため、優しくソフトに非常に弱くそっと触れる程度の施術でも、手技療法になります。
【手技療法に含まれれるものは】
「指圧・按摩・マッサージ・徒手矯正・変形徒手矯正術・柔道整復術・理学療法・無資格者施術・整体・カイロプラクティック・オステオパシー・療術・赤ちゃん整体・ベビー整体・ベビーマッサージ・頭蓋骨矯正(調整)・頭蓋調整・頭の形ケア・ヘッドケア・民間療法・○○式や○○学的の施術」など。
※一部の施術所では、「通うペースが月に1回では変化がでずらい」、「3週間に1回では、改善が難しくなる」「1回では丸くならない」と謳っていますが、変化を求めて週1、2回のペースで施術を行う行為は、明確に「治療」となります。
また、頭の形のセルフケアと称して、利用者(親御様)の赤ちゃん・幼児の頭の形に対し、マッサージの指導をSNSや動画で公開している者がいますが、医師の以外の頭の施術はいかなる者も無資格の扱いになることから、「マッサージ・施術・治療目的」の指導であれば違法になります。
「斜頭の場合は骨に力が加わる程度の強さで頭を触れて、骨を後方へもっていくように手を動かして!」、「頭蓋骨の動きを良くするために、ここの皮膚を触れて筋肉を動かして!」といった動画は、明確な「治療行為」になります。
医業類似行為に関する広告について
医業類似行為に関しては「広告の規制」により、「施術者の技能、施術方法、経歴」に関する広告は一切認められません。「何人も」と定めているので、広告の規制については、全国民が規制の対象となります。当然ながらSNS広告も規制対象です。
・「斜頭症」「短頭」「頭蓋変形」などの具体的な症状名の記載は禁止されています。
・虚偽や誇大広告:「ハチ張りは治ります」「〇〇治療専門」「元祖・本家」「医業類似行為を行うには資格が必要」「保健所登録を受けた治療院」「医療費控除対象」などの利用者を誤解させる表現は禁止されております。
・施術者の経歴、実績に関する内容を具体的に示す表現(例:「〇〇万人の頭の形を改善してきました」「院が開設されて〇〇周年」「経験豊富な院長が担当する」「国家資格所有者」など)は避けなければなりません。
・施術者の技能、施術方法(内容)を具体的に示す表現(例:「絶壁・ハチ張りは数回で変わります」「頭の形の悩みを解消します」「赤ちゃんの頭をそっと触れて施術を行います」「痛くない施術」「優しく安全な赤ちゃんの絶壁・斜頭症の施術」「器具を使わずに優しく頭の形を整えます」「頭を押したり揺さぶったりしません」「マッサージ」「整体」「斜頭症矯正」など)は避けなければなりません。
疾病の治療は、業務の停止・禁止となるおそれがある
第十二条の三 都道府県知事は、前条第一項に規定する者の行う医業類似行為が衛生上特に害があると認めるとき、又はその者が次の各号のいずれかに掲げる者に該当するときは、期間を定めてその業務を停止し、又はその業務の全部若しくは一部を禁止することができる。
一 心身の障害により前条第一項に規定する医業類似行為の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、前条第一項に規定する医業類似行為の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
② 前項の規定による業務の停止又は禁止に関して必要な事項は、政令で定める。
※「衛生上特に害がある」というのは、疾病の治療を目的とした施術も含まれます。
手による斜頭症などの頭の形の施術は、国家資格に含まれず無資格の民間療法なので、保健所・厚生労働省らの行政が関与せず及ばない管轄外となります。
しかしながら、「衛生上から見て有害のおそれがある虞がある」と認められれば、衛生上の危害防止のため、医師や保健所から意見を聞いた上で、都道府県知事は、あはき法第十二条の三により「一定期間の業務停止、業務の一部又は全部の禁止」を指示することができます。
あはき・柔整広告ガイドラインについて
無資格者の定義について
令和7年2月18日に厚生労働省が公表した「あはき・柔整広告ガイドライン」では、「無資格者の定義」について以下のように公表しています。
『消費者庁にあはき又は柔整 の免許を有していない者等(あはき又は柔整等の免許を有しているが当該免許に係る業以外の行為を提供している者も含み、以下「無資格者」という。)による行為で発生した事故の情報が寄せられていること等を踏まえ、あはき・柔整に関する広告だけでなく、無資格者による広告も含めた広告の在り方について、検討を行ったものである。』
(あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業 若しくは柔道整復業又はこれらの施術所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針 ~あはき・柔整広告ガイドライン~の文面より)
つまり、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の国家資格を持つ者が斜頭症・頭の形の施術を行う場合、「無資格者」になります。
※歯科診療の補助・歯科保健指導が業務である「歯科衛生士」、医師の指示なしに「看護師」「助産師」「理学療法士」「作業療法士」が頭の形の施術を行う場合も無資格者になります。
例えば、「理学療法士・助産師による頭の形ケア」という掲載は、利用者が「適法な施術である」と誤認するおそれがあるので、当然ながら違法となります。
※無資格者によるマッサージなどの治療行為は「人体に危害を及ぼすおそれがある」ので禁止されていますが、マッサージ師の資格を持つ者が斜頭症などの頭の形に「マッサージ」や「矯正」などの免許行為を行えば無資格者施術(無資格行為)の扱いとなり処罰の対象になるのです。
※税務署は、「頭の形の施術が、国家資格者によるものであっても、厚生労働省のガイドラインにより業務外の無資格者の行為になるのであれば、医療費控除の対象にはならない」という回答でした。
ガイドラインについては、知らない税務署が多く存在することから、「頭の形の施術がマッサージ師・鍼灸師・柔道整復師によるものなので医療費控除対象になりますか?」と伺えば、税務署は当然「なります」という回答になるのです。しかしながら、ガイドラインの存在があることについて伺うと、「ならない」という回答でした。
そのため、業務外(免許外)の無資格行為が、あはき師・柔整師の免許行為による「施術の対価」とは全く異なることから、「医療費控除対象外」になります。
厚生労働省は、無資格者による施術を「法に基づかない医業類似行為」に規定しています。そして、無資格者による「治療行為」は、人体に危害を及ぼすおそれがあるため「禁止されている医業類似行為」になります。
無資格者が「広告」「ウェブサイト」等に掲載すべきでない事項
『3 広告に掲載すべきでない事項 具体的には以下のとおりである。
(1) 内容が虚偽にわたる又は客観的事実であることを証明することができないもの
(2) 他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの
(3) 早急なサービスの利用を過度にあおる表現
(4) 費用の過度な強調
利用者に対して費用の安さ等の過度な強調・誇張等については、利用者を不当に誘引するおそれがあることから、本指針での広告やウェブサイト等に掲載すべきでないこと。
(5)科学的な根拠が乏しい情報に基づき、利用者の不安を過度にあおる等して、事業所等へのサービス利用を不当に誘導するもの
(6)あはき師法、柔整師法等に抵触する内容を含むもの
無資格者の行為は、国家資格が必要なあん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業若しくは柔道整復の業務とは全く異なることから、国家資格を必要とする業を行っていると利用者に誤認を与えるような表示は不適切であり、これは、写真、画像等を用いた場合においても同様である。 また、「腰痛」、「膝の痛み」等の痛み症状に対する施術、慢性の「肩こり・ 疲労」等の常態的な症状に対する施術の表現は、特定の疾患に対する施術 或いは疾患の原因となる可能性を含んでいる症状に対する施術に当たる可能性が高いことから、広告及びウェブサイト等に表現すべきでないものである。
(7)公序良俗に反するもの
(8)関連法令等で禁止されるもの
本指針での広告やウェブサイト等への掲載に当たっては、Ⅳの2に例示する規定を含め、広告関連法令等を遵守すること。』
(~あはき・柔整広告ガイドライン~ Ⅶ.無資格者の行為に関する広告について。3 広告に掲載すべきでない事項の文面より)
ガイドラインは法律ではないので法的拘束力はありませんが、根拠となっているのは、あはき法、柔道整復師法、医療法、薬機法、医師法、景品表示法、不正競争防止法、健康増進法などの法律です。
本ガイドラインではウェブサイト(ホームページ)は広告とみなさない判断をしていますが、厚生労働省は無資格者(免許外・業務外の無資格行為)に対し「ウェブサイト等でも法律に抵触するため、載せてはいけませんよ」と念を押しています。
また、ガイドラインの指針の違反を繰り返す場合には、刑事告訴も辞さないということも公表しています。
イ 告発
アに示したように、違反広告を発見した場合には、通常はまず、行政 指導により当該違反広告の中止や内容の是正を求めることとなるが、
① 違反広告を行った者が中止若しくは是正の行政指導に従わない 場合
② 違反広告を繰り返す場合
③ 報告の求め(あはき師法第10条1項、柔整師法第21条1項)に 対して報告を怠り、又は虚偽の報告をした場合 には、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定に より、司法警察員に対して書面により告発を行うことを検討すること。 なお、罰則については、30万円以下の罰金(あはき師法第13条の 8第1号又は6号若しくは柔整師法第30条第5号又は7号)が適用さ れる。
「(ガイドラインの29ページの(2)広告違反の指導及び措置として)の文面より」
それらのことから、医師以外の者は、斜頭症などの頭蓋変形・頭の形・絶壁・ゆがみ・いびつ・ハチ張りなどの「症状の名称」「疾病に対する施術」「疾病の原因となる可能性を含んでいる症状に対する施術」を広告(SNS広告)及びウェブサイト、SNS等に表現することはできません。また、有資格者であれば「○○師による施術、国家資格を持つ者が担当する、○○師の資格が必要」などを表現することはできません。
医師以外の者は、民間療法の括りになる
以上のことから、あはき法第十二条により「禁止されている医業類似行為」を病院以外の「治療院、マッサージ院、鍼灸院、接骨院、整骨院、助産院、療術院、オステオパシー、カイロプラクティック、整体院・民間療法」などの施術所で、業(業務・営業)として行うと、国家資格を「持つ者」又は「持たない者」に関わらず、あはき法・医師法・医療法などの法律に違反し処罰の対象になります。
医師以外の者が(病院以外の施術所・出張先で)、手による斜頭症・頭の形の施術を行う場合、治療行為は禁止となります。その上で、国家資格は無効となり「整体・カイロプラクティック・オステオパシー・療術・リラクゼーション・アロマテラピー」のような無資格で施術を行う「民間療法」の括りになります。
厚生労働省らの規定では、民間療法は、禁止対象にならない「法に基づかない医業類似行為」「非医業類似行為」に分類され、「人の健康に害を及ぼす虞のない業務行為」でなければならないので、治療行為である「頭の形を変える目的の施術」はできません。