頭にマッサージや矯正をしない理由
- 3月26日
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更新日:2 日前
内力が抵抗する
例えば、「手指で手の甲を押して皮膚の色が白くなる程度の力」で頭を触れると、手の平や足の裏以外の皮膚は非常に薄いため、刺激は頭蓋骨に到達します。
そうすると、頭蓋内から手の力と同じ力の「内力」が発生し、頭蓋骨は動いたり、凹んだり、膨らんだり、壊れたりしないように抵抗したり、弾力が発生したりして元の形に戻ろうとする力が生じます。
内力は別の言い方をすると「応力」と言います。応力は英語で stress(ストレス)と訳します。stress(ストレス)は、物理的な力による内部の負担を指します。※扁平な頭蓋骨の表層には緻密な骨膜が存在します。また、頭蓋骨の下の層には硬膜が骨膜の役割を果たします。頭蓋に外力が作用すると、骨膜が脳を守ります。
また、手で頭を触れて皮膚の色が変化するということは、頭蓋に血圧がかかっていることになり、手の力で血の流れを変えていることになります。併せて、頭蓋骨にも物理的な力が作用していることになります。
つまり、手の力で頭蓋骨を「マッサージ」や「矯正」をしていることになります。※血圧1mmHg=水銀を1mm押しあげる圧力=1.33hPa(ヘクトパスカル)=500円玉が頭に乗っている重さ=約7g。そのことから、1mmHg以上の手の圧力が頭蓋に作用すると、頭蓋骨にマッサージや矯正をしていることになります。
例えば、ペンの先は尖っているので字が書けます。そのため、指先で頭を触れて施術を行うと、手の掌や指腹で頭を触れているのと比べて指先に圧力が集中することから、頭蓋骨に作用する手の圧力も数倍になります。また、粘土を指で押すと、粘土は指の形に凹みます。つまり、指先で皮膚の色が白くなる程度の力で頭蓋を触れると、頭蓋骨には凹ます力がかかるのです。
そうすると、赤ちゃんや幼児の柔らかい頭蓋では、手の力に内力が抵抗できず負けてしまうおそれがあります。
新生児~乳児の頭蓋は「特に柔らかく、剛性が低く、粘土のような質(粘性)を持ち合わせている」ため、それを利用して整えたり矯正をしようと考えがちですが、それは「医行為」であり、また組織に負担をかけていることになるので、構造を考慮した方法ではありません。
頭蓋は外からの衝撃に対し、頭蓋骨が接合している「泉門」「縫合」が振動を和らげることで脳を保護したり、呼吸に伴う頭蓋の変動を調節したりするダンパー装置と似た役割を果たします。
しかしながら、赤ちゃんや幼児の頭蓋は、大人のように骨と骨が嚙み合って連結をしていないため、連結部が軟弱です。
例えば、消しゴムや紙の切れかけを手で裂いたときに、どこから裂けていくのかというと、切れかけの部分から裂けていきます。そのことから、頭蓋に外力が作用した時に、まず応力は縫合や泉門の部分に集中します。つまり、手の力で頭蓋を動かしてしまうと、縫合や泉門に大きな負担を与えていることになります。
大人の頭蓋骨であっても、泉門が完全に閉鎖していない可能性や泉門の名残が存在していたり、骨と骨とが接する縫合が骨癒合していない部分が存在する可能性が考えられます。また、個々によっては頭蓋骨の厚みが非常に薄い可能性も0ではありません。
そのため、強度が高く剛性が高いとされる大人の頭蓋骨であっても、手の力に頭蓋が耐えられず負けてしまうおそれがあります。つまり、頭蓋の構造(各頭蓋骨のパーツの形やパーツの組まれ方やパーツの厚み)は個々で全く異なるのです。
なお、外からでは頭蓋の内部は見えません。たとえ、手で「泉門や縫合の場所」や「頭の柔軟性」を感じとれたとしても、頭蓋骨の構造がどうなっているのかまでは正確にわかりません。そのため、頭にマッサージや矯正をしても、効果の予測がつかないのです。
その結果として、良くも悪くも頭の形状の軌道を変えてしまうおそれがあります。また、頭蓋の内圧と比べて手による外圧の方が高い環境をつくってしまうため、頭蓋に負担をかけてしまうおそれがあることや、呼吸に伴う頭蓋骨の運動を手の力で妨げてしまいます。
それらのことから、頭蓋の平面と直交した頭蓋骨に向かう刺激を与えたり、頭蓋の皮膚や筋肉や骨に対して「手指で手の甲を押して皮膚の色が白くなる程度の力で頭を触れて頭蓋に血圧をかけたり」「頭蓋骨に圧力を加えたり」「皮膚や筋肉を動かしたりする」などのマッサージや矯正をして、手の力で「形を変える」ことは一切しません。
